過去の帳簿が間違っていた場合の対処法

帳簿をつくっていたんだけど
去年の帳簿の内容が間違っていたみたい。
どうしたらいい?

完璧な人なんていないので、焦って帳簿をつけていたり、勘違いだったりで、ミスがあるのが人間(笑)
でも確定申告の提出期限後に間違いが発見されたら、とても焦りますよね。

今回の記事では、確定申告書提出期限経過後に決算書の金額に間違いが見つかった場合の解決方法を記載します。

※なお、この記事では個人事業主の方を対象として、解説していきます。

目次

大事なことは、帳簿を修正しない

確定申告書を提出後に間違いが発覚した場合、過去の帳簿を修正したくなりますが、これはNG。
すでに確定申告書を提出したということは、すでに年度決算が締まっている状態ですので、締め後の修正は行えません。

仮に帳簿を修正してしまうと、保存義務のある帳簿類と、提出した確定申告書の添付資料に差異が出てしまいます。

このため、焦って修正はしないでくださいね。

国税庁HP 個人事業主の帳簿保管義務について
リンクはこちら

間違った内容を把握する

まずは落ち着いて、間違った内容を確認しましょう。内容によって対応方法が異なりますので、ココは大事なところ。

間違いの内容は、大きく3つのパターンがあります。

パターン1:資産や負債の金額が異なる(例、預金が通帳と一致していない)
パターン2:売上や収益の計上漏れ(売上の金額が少なかった、経費の金額が多かった)
パターン3:経費の計上漏れ(経費の金額が少なかった、売上の金額が多かった)

それぞれ対処法について、次で解説していきます。

パターン1:貸借対照表が間違っていた場合

貸借対照表とは、資産や負債について、12月31日時点の残高が記載されるものです。
(青色申告決算書の4ページ目です)

多くの方が気づきやすいのは、通帳の残高と帳簿の「普通預金」の金額が違っている場合ではないでしょうか。

この場合、税金の金額に影響はありませんので、修正申告(※)は不要です。つまり、確定申告書を再度作成して、税務署に提出する必要はありません。

修正申告(※)とは、確定申告提出日以降に、すでに提出した申告書の金額が誤っていた場合に、正しい金額で申告書を出し直すことです。
国税庁HP 修正申告について
リンクはこちら

ただし、このままにしておくと、将来にわたって差額が生じてしまいますので、翌年の帳簿で修正をします。

例えば、通帳の残高と帳簿の普通預金の金額に3万円の差額が発生(通帳残高>帳簿の金額)しており、その差額は現金で計上していた場合、以下のような仕訳を翌年の1月1日付で入力します。

(借方)普通預金 30,000
(貸方)現金   30,000
摘要欄には、「前期修正」と記載しておく

つまり、帳簿上の普通預金を増やして、通帳の金額と一致させて、現金は減らして金種表と合わせる、という処理を行います。

パターン2:売上・収益の計上漏れ

売上の計上が漏れていた場合や経費が多く計上されていた場合は、ちょっと大変です。。。

この場合は、提出した確定申告書の税金の金額が少なかったということなので、正しい金額で修正申告が必要になります。

その上で、帳簿については、翌年の帳簿で修正を入れていきます。

例えば、売上30万円(入金は翌年)が漏れていた場合は、以下の仕訳を翌年1月1日付で入力します。

(借方)売掛金 300,000
(貸方)事業主借 300,000
摘要欄には「前期修正」と内容を補足する

パターン3:経費の計上漏れ

経費の計上が漏れていた、売上を多く計上していたという場合は、パターン2よりは少し重要度は下がります(笑)

この場合は、税金を多く納めすぎたという状態ですので、希望すれば「更正の請求」をすることで、所得税の還付を受けることができる可能性があります。

まわりくどい言い方ですが(笑)、更正の請求は、税務署の許可が必要なのです。このため、修正申告のように、必ず認められるわけではありません。

更正の請求をしたい場合は、「更正の請求書」を税務署に提出します。税務署で内容を調査し、内容に問題がないと判断された場合は、税金が還付されます。

細かい規程もありますので、該当する方は必ず国税庁のHPをご覧になってくださいね。

国税庁 更正の請求について
リンクはこちら

帳簿の修正を行う場合は、パターン2の逆になります。

例えば、クレジットカードで支払ったセミナー代15万円の計上が漏れていた場合、翌年の1月1日付で以下の仕訳を入力します。

(借方)事業主貸  150,000
(貸方)未払金   150,000
摘要欄には「前期修正」と内容を補足する

ミスをしない帳簿作成を

ここまで見てきたように、確定申告書の数字を間違える、つまり、帳簿の金額を誤ると、その後の手続きが発生します。

帳簿の誤りは、焦って帳簿作成をしたり、正しい知識を持たずに作成していることが原因です。

ぜひ正しい知識をみにつけて、コツコツ帳簿作成を進めていきましょうね。

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