寄附金控除は、所得控除と税額控除、どっちが有利?

個人が寄附をした場合に使える「寄附金控除」。
国や地方公共団体への寄付金としては「ふるさと納税」が有名ですが、その他、日本赤十字社や認定NPO法人等などに対する寄附金等も寄附金控除(所得控除)の対象となります。

そして、認定NPO法人等に対する寄附金については、所得控除(寄附金控除)もしくは税額控除(寄附金特別控除)のどちらか有利な方を選択することができます。

では、所得控除と税額控除では、どっちが有利になるのでしょうか?

目次

寄附金控除(所得控除)と寄附金特別控除(税額控除)の違い

個人が寄附をすると、税金計算が有利(安くなる)寄附金控除。実は2種類あります。

1.(1)寄附金控除(所得控除)とは?

有名な(笑)「ふるさと納税」が対象となるのが、寄附金控除(所得控除)です。

所得控除は、税金の計算過程で、所得から差し引くことができる控除項目。全部で15種類ありますが、そのうちの1つです。

寄附金控除の対象となるのは、「指定寄附金」と呼ばれるもので、以下のようなものがあげられます。

指定寄附金
①国、地方公共団体に対する寄附金
(例、ふるさと納税)
②指定寄附金
 財務大臣が指定したもの。(例、日本赤十字社、国立大学への寄附金)
特定公益増進法人に対する寄附金
特定公益信託への支出金
認定NPO法人に対する特定寄附金
 認定NPO法人のうち、国税庁長官の認定をうけたもの
その他
 特定新規中小会社が発行した株式の取得に係る払込金

文章で見ると「私が寄附した先は、寄附金控除の対象なのかな?」と悩みますが、寄付先のHPなどを見ると、認定を受けているのかどうか記載がされています。

また、通常は「領収書」に「寄附金控除の対象」の旨が記載されていますので、確認しましょう。

1.(2)寄附金控除の計算方法

寄附金控除の計算方法は、以下となっています。

寄附金控除額=(1)または(2)のいずれか低い金額 – 2000円

(1)その年に支払った指定寄附金の額
(2)その年の総所得金額(※)の40%相当額

(※)総所得金額とは、ざっくり言うと、確定申告書の所得金額等の合計欄⑫の金額です。

つまり、その人の所得金額によって寄附金控除の金額が変わります。

単純に計算式に当てはめると、総所得金額が100万であれば、100万×40%ー2000円なので、398,000円となります。

が!実際は基礎控除など他の控除項目があります。

このため、節税を意識して寄付するのであれば総所得金額額から基礎控除等他の控除項目金額を除いた金額で算定してくださいね。

2.(1)寄附金特別控除(税額控除)とは?

寄附金特別控除は、3つしかありません。

①政党等寄附金特別控除
②認定NPO法人等寄附金特別控除
③公益社団法人等寄附金特別控除

寄附金控除と同様、「領収書」に「寄附金税額控除の対象となる」旨が記載されていますので、確認してみてください。

2.(2)寄附金特別控除の計算方法

寄附金特別控除の計算方法は、以下のようになっています。

①政党等寄附金控除
(政党等に寄付した金額-2,000円)×30%

②認定NPO法人等寄附金特別控除
(認定NPO法人等に寄付した金額-2,000円)×40%

③公益社団法人等寄附金特別控除
(公益社団法人等に寄付した金額(一定要件あり)-2,000円)×40%
 
※所得税の25パーセント相当額が控除限度額
※「①~③の寄付金合計」は「総所得金額等」の40%が限度

所得控除と税額控除はどっちが有利?

寄附金控除(所得控除)と寄附金特別控除(税額控除)を説明してきましたが、どちらも選択できるのは、寄附金特別控除(税額控除)で説明した、以下の3つだけです。

どうせなら有利な方を選択したいですよね。

税額控除は、税額から直接差し引くことができるので、通常は税額控除の方が有利ですが、所得金額や寄附金額によって、どちらが有利になるのかは変わってきます。

では、いくらまでは税額控除がいいのでしょうか?

日本は累進課税制度のため、所得が高ければ高いほど、税率が高くなります。
例えば、課税所得100万円の人は所得税率は5%、課税所得金額500万円の人は所得税率20%、課税所得金額1000万円の人は所得税率33%です。

ということで実質所得税率が30%以下であれば税額控除の方が有利になりますので、所得税率のみを考慮するなら、課税所得2,800万までは税額控除の方が有利と言えます。

※現在は、復興特別所得税2.1%がありますので、ご注意ください。

寄附金特別控除(税額控除)確定申告書作成時のポイント

寄附金特別控除(税額控除)を利用する場合、オススメはe-Taxで確定申告すること!

個人事業主の場合、やよい青色申告オンラインやfreee、MFクラウド確定申告などの会計ソフトから、そのまま確定申告書を作成・送信される方も多いと思います。

上記の各会計ソフト経由の場合、税額控除を自分で計算しなければなりません。

一方で、e-Taxの場合、自分で計算することなく、寄附金控除欄に、すべて記載することで有利な方を自動で計算して申告書を作成してくれます^^

とっても便利ですよね!

「e-Taxはわかりにくい!」と食わず嫌いの方も多いのですが(笑)、寄附金特別控除(税額控除)を利用する場合は、e-Taxで確定申告書を作成することをオススメします♡

まとめ

確定申告書の作成は1年に1度しかなく、なかなか慣れないと思いますが、困っている時間はもったいないですよね。

お困りの方は、早めにご相談くださいね。

確定申告書や税金に関してのご質問は、税理士事務所としてお受けいたします。
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